増刷のお知らせ
4月10日発売

hibi
八上桐子

  • hibi

呼べばしばらく水に浮かんでいる名前
えんぴつを離す 舟がきましたね
こうすれば銀の楽器になる蛇口

2018年1月初版を刊行、
日々ひそんでいる神秘さ、不思議さを描く
新鮮な言葉にこころ魅せられます。
また『本の雑誌』『東京新聞』『神戸新聞』などで紹介されました。
この度、多くのリクエストの声に支えられて、待望の増刷!

→本書の詳細は、こちらをご覧ください。(書籍紹介ページへ)

私は、川柳で、はじめて自分の音を聴いたように思いました。川柳に弾き出されるあたらしい音が聴きたくて、今日も川柳を書いています。
──あとがきより

推薦のことば(2019年)

池上規公子さん(葉ね文庫)

そのとき私は深夜のうどん屋にいました。
締め切りに追われ、無理やり終わらせた仕事のことを頭の片隅に置いたまま、始発電車までの時間を『hibi』とうどんで埋めようとしていました。

えんぴつを離す 舟がきましたね

この句に目を滑らせたとき、口のなかにはまだうどんがありました。
何度も句を辿るうちに、身体はすっかり潮風に吹かれ、うどんはもう消えていました。
あっそうか、終わったんだ。やっと仕事を手放すことができたんだ、って。とつぜん解放感で満たされました。
『hibi』は私のゴツゴツした日常を、言い過ぎない言葉で彩ってくれます。

石田柊馬さん(川柳人)

80%「川柳」、20%「立姿」。

今野真さん(古本 水中書店)

たとえば水面の反映として眺められた景。瓶に詰められた蜂蜜越しであったり、あるいは瞬きと瞬きのあいだの捉え難さとしての映像。『hibi』に顕われては消えてゆく、そうした儚いイメージが、わたしはすきだ。不鮮明だけれどとてもうつくしいそれらのイメージの力が、この一冊を自分にとって特別なものにしている。

佐藤文香さん(俳人)

向き合ってきれいに鳥を食べる夜  八上桐子

日常と自分との間に流れる川があることを知る。
たちまち、水面のなめらかな違和感に引き込まれる。
私は、透明な水の中でいくらでも息ができる。
気がつくと、対岸だ。
つまり、日常。
遠くに来たようなのに、私はここにいる。

桐子さんの川柳は、そんなかんじだ。

永山裕美さん(梅田 蔦屋書店)

日々の生活で感じられる世界への違和感、ひそやかな亀裂を、
罅を、美しく掬い取った、川柳句集。
この世界の奇妙さをあるがままに受け入れ、否定も肯定も
しない安らかさに、こころがほどけてゆくような、
不思議な開放感に満たされます。

四元康祐さん(詩人)

 hibi を読んでいると、だらだら行分けで詩を書いているのがはしたないことに思えてくる。それでいてどの頁を開いても、そこに並ぶ句を三つ続けて読めば、多彩な(時にはエロティックな)物語が浮かんでくるから不思議だ。
 桐子さんの川柳を、定型の街から遠く離れた荒野へ誘い出してみたい。そこでいきなり五七のリズムを剥ぎ取ったなら、句は日常の呟きのなかに逃げ込んでゆくだろうか。それとも自由奔放な詩となって、空へ翼を広げるだろうか。