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港のひと
港のひと・002・創刊2号
2002年5月20日発行
◆北村太郎さんと港の人-里舘勇治
 詩人北村太郎さんは最晩年、鎌倉に暮らされていたが、鎌倉の人というよりは、横浜の人だろう。しおからいスパイスがきいた横浜の街によく似合う詩人だった。横浜時代は好んで街を歩かれ、大晦日の夜は、山下公園近くにあるグランドホテルで霧笛を聞きながらコーヒーを喫み年を越すことがお決まりだったようだ。その一時期、北村さんが路地をはさんで隣の家に引っ越しされた経緯から家族ひっくるめてお付き合いさせていただいた楽しい想い出がある。97年に会社を立ち上げるさい、社名は北村太郎詩集『港の人』からいただいた。わたしはいま、北村さんはたたかう人だったのではないかと思っている。早い晩年を経るにつれ、北村さんは〈気ばらし〉を捨て去り、そして〈偏狭〉にはげしく傾斜していった。はげしいぶん、姿のまわりに、すがすがしい風が吹いていた。北村さんの短いエッセイにこんな文章がある。「わたくしはあまり運なることばを使いたくない。ひとが、それは運だよ、というとき、わたくしなら何もいわず、沈黙していたい。運に対抗できるのは、ただひとつ、沈黙しかない」(「運と沈黙」より)。最後まで黙してたたかいぬかれた。まだまだ早過ぎたよ、北村さん。
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図書出版・編集企画
港の人(みなとのひと:minato-no-hito)
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