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『妻を送る 亡き人に贈る詩(ことば)の架け橋』
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■まえがき―或る生の姿より
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 寄り添うように長年生きてきた連れ合いが、声も手も届かないところに連れ去られた時、残された者にはどんな言葉が生み出せるだろうか。
 長い悲嘆の果て、生きる力も失われかけた果てにかろうじて出てくるのは、深い淵の上を覆う、その薄い被膜に浮かび出てくるような言葉であった。
 その言葉は日常の平面に死んだ魚のように並べられるような、限りなく記号に近いものではなかった。その被膜の上に浮かび出た言葉は、まるで底なし沼のような追憶の上に漂い、暗闇のように沈み込む深い淵の上に浮かび出ていた。まるで言葉自体が光を求めて浮かび出てくるかのように、淵の底から浮上してきた、そんな感じであった。もうどこにも届きようのない言葉が、出口を求めて、そして一筋の光を求めて浮かび出てきたかのように、口をついて出てきた。それがかろうじて産みだされた詩の言葉であった。
 「言葉は存在の棲みかだ」。或る西欧の哲学者の言ったこの言葉をそのまま使えば、言葉を失うことは存在そのものを失うことかもしれない。だとすると、再び言葉に出会うことは、失われかけた存在そのものと出会う道であるのかもしれない。どんなに拙く、貧しくとも、それは或るひとりの人間の存在をひとつの光の中にもたらすものであったろうと思っている。
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■目次
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まえがき―或る生の姿
なつかしすぎて とりとめなくて
妻の日の愛の形見
短歌二十二首
俳句七十句
エッセイ*5編
言葉の架け橋に向けて
やがて滅びゆくものの前で
敬虔の発生―自分を超えるものについて
死という言葉の語感
あとがき―去りゆく命の日々に
詳細目次
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