『心のてのひらに』
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■本詩集より 受粉の日
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花粉のように飛びましょう
どこまでもどこまでも
飛散と受粉の旅をつづけましょう
軽くて柔らかなお皿を抱えて
ええ どこまでも出前の旅をいたします
不妊の女たちのいる島
遊び続ける少年たちの
いつまでも暮れない空に
金色の花粉を降らせにいきましょう

愛のすり切れた二十一世紀の波打ち際
わたしたちの旅の道程は
虹のように喜びと悲しみの両岸へと
続いているのではなかったか
大きなクジラたちが殺され続けた深い湾では
まだ皿は空っぽのまま
なみなみとしたものを満たすために待たれている

手をつないでいきましょう
けっして幸福ではなかった父母や祖父母たちの
墓やクジラ碑
置き去りにしてきた動物の白骨たちよ
花をさした銃口を敵に捧げた若者のように
いまいちど
生き物の濁りのない受胎を夢見て
るいるいとした死の山脈をこえて往く

さあ わたしたちは
あした 白い皿に乗った
黄色い魔法の粉になるのですよ
未来を生きるための花の武器になるのですよ
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■目次
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白い花
春そこから皮膚が
海をゆくものへの挽歌
(無題)
シュポー 見えない列車
(無題)
椿を鎮める
ことほぎ
クラゲたち
冬の薔薇
ホントウのコト
方舟・2011
きょうの祭礼
儀式
秋の柩
町のありか
問いかけ
白と黒についてわたしたちが話したこと
ある船の物語
受粉の日
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