『おばけ図鑑を描きたかった少年』
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■詩「おばけ図鑑を描きたかった少年」より
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むかし たわむれに描きはじめて
男の子が途中で投げ出してしまった
「おばけずかん」があった
雪女やろくろくび
フランケンシュタインに交じって
「ガイコツ」の項目まである
――よるのはかばに たくさんあつまって
きみのわるいこえで
うたをうたったり
からだをカシャカシャならしながら
おどったりしている――
なにか滑稽で むしろ楽しそうだ

幼なじみのきょうこちゃんが
死んだ日のことを
男の子は忘れていない
きょうこちゃんは同い年で
保育園からのかえり
バスから降りて
おなかが痛いとしゃがみこんだ
大きな後輪に
軽くふれたように見えただけだ
それが数日後には
いなくなってしまった
巨大な車輪のかたわらで
うつむいている姿とともに
いっしょに遊んだとき
草むらでしゃがみこみ
勢いよくおしっこをした姿を
大きくなった男の子は
なんども思い出した
ほとばしるいのちの上には
虹さえ架かっているようだった
(後略)

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■目次
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ふるさと
ほたるの帽子
ときのかけら
バスタオルの穴から
おばけ図鑑を描きたかった少年
図書館の妖精
地下鉄の中の蝶
歩道橋のとき
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出発
メルヘン ――松原団地の建て替えに寄せて
陽を背負って
ヴァイオリン
面白くて寂しい話
地下鉄のホームで
父と子の風景
田舎のビートルズ
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夢の声
観覧車
影絵の町
無言の館 ――戦没画学生慰霊美術館にて
ルルド ベルナデットの泉
砂漠の中のサン=テグジュペリ
サンテックスひとりぼっち
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あとがき
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