『90度のまなざし』
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■本文「源流を守る人」より
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……珍しい、こまごまとしたものを、いただいたり、さしあげたり、子供のように心愉しい時間を持った昔には、電話や手紙で連絡をとり、生身の先生にお会いしたものでした。  当時(今もあまり変りませんが)、西も東もわからず、貧しかった私は、先生の下さるカマンベールチーズや、人形が抱いたベルギーのチョコや、パリの香水や、マロングラッセなど、初めて見るものばかりで、本当に飛び上って喜んだものでした。(中略)  いつも、どんなに遅くなろうとも、朝までも、決して途中で、席を立たれたことがなかった。サム・フランシスのパーティのあとなど、ディスコで、ツイストやゴーゴーなど、無理強いして踊っていただき、巨体のサムと細身の先生の対比とを、大笑いしたものでした。葬式の花輪が発端となった、天井桟敷と状況劇場の大乱闘で、パトカーがきて、寺山さんや唐さんやマロやシモン達が、大挙して捕まる一部始終を、子供を抱いた私と先生とで、道のこちら側で、タクシーをひろうのも忘れ、あれよあれよと見送った夜。  そういえば、昔々、シュールレアリストだという一件で、捕まって八ヶ月、牢名主として、九枚の坐ぶとんの上で坐ってらしたこともありましたね。(中略)  先生、私は、瀧口修造というオリオン星に、すみれのような山の声もてよび戻された、シリウスのβ星です。

 編集注、初個展のきっかけをくれた瀧口修造の思い出をつづった文章

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■目次
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第一章 つくること、描くこと
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オブジェの宝石を着たにんぎょう
銀板写真の肖像画
グラニュー糖の日々
リアリズムとは
中国の不思議な役人──美術
バルトークの青ひげ公の城──美術
考えたこともないこと
盗品と拾得品のオブジェ
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第二章  原風景
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はじめてかいた詩
眠りの森の象姫
記憶の中の日々
写真集『日本の軍艦』
秘密の匂い
父は月である
ふるさとを遊泳する
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第三章  イメージとモチーフ
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顔たちの秘密の笑い
イメージの世界
ニューヨークで会った白い美少年のこと
吸血鬼
三角形は、すずしい
ターザン
なつかしき友、爬虫類
今宵は蛇と
ガラスの胸と死の匂い
人形の国
色彩─モノクローム
魚のうろこ
オレンジ色の花
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第四章  エジプト
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エジプト
途方もなく魅力的な国――エジプトへの旅立ち
エジプトへ
ネフェルチチ
永遠の国エジプト
あの国の空気が甘かった
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第五章  書評、美術評など
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不忍の池に現われた紅テント
『陽炎座』 大胆不敵、絢爛豪華の美しき悪夢
『メフィスト』 一夜の夢のように美しい空中の楼閣
『THE 3 LITTLE KITTENS』
マチョ・イネの異名をもつ旅人が送る世界の散歩先からの便り。
幽かなもの、石の声さえも聞こえる常世の入口からの届けもの。
この宇宙の精華との和解は体制からの超越の願望を感じさせる。
愛することと歌うことしか知らなかったピアフの狂おしい人生。
ひしめきあう天才と狂気のあいだに生きて死んだ十人の人物の情熱。
日中の出版社が協力し空前の規模で敦煌の仏たちがいま蘇る!
爛熟期の肖像神話が伝説とともに私たちの時代に舞い降りる。
知られざる動物たちが地球上の近寄りがたい部分に生きている!?
ジョージア・オキーフ 大地のメッセージ
ダリの湖に溺れゆく一羽のアヒル 奇跡のダリ宝石展
弥勒菩薩半跏思惟像・蟹満寺の仏像
クレーの笑顔
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第六章  出会った人、別れた人
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不思議の国の少年へ
姿なき残像
花いちもんめ
空想の肖像写真
発明家アラキ・ノブヨシ
おかえりなさい、四谷シモン。
KUNIYOSHI KANAKO
ニナ川さん 歩くと走るのあいのこ
追悼・倉俣史郎
森茉莉さん
中空からの郵便配達
異形の人
源流を守る人
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第七章  日々の出来事
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珠玉のような一時間がなかったら
宮内庁マリイ
私のアパートの五階の窓から
ジュラルミンのトランク
一日二回のティータイムを死守する男。
馬の生首が頭蓋骨に変わるまで
エジプトっ子VS.日本児童、砂漠の対決
怪談・小学校
裏返しの世界へ行った日
子供・大人・時間の流れ
同列等価値の三者共同生活
かえでの種子
勇気を持ってたった一回だけを生きる
現れては消えるあのシーン、あの俳優
レンズ効果
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(無題)
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解説  合田ノブヨ
合田佐和子年譜・著作目録
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