『港の人 付単行本未収録詩』
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■ 本詩集より
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暑い朝
たくさんの観念が
鼠いろになって目の前を通りすぎていく
それらは
とっても淋しい響きを残すわけでもないのに
音の幻としては
いつまでもうつ向いていたいくらいの
囁きである
色としては
濃淡がなさすぎて
もうすこしで
影になりそうに思える

そうやって
ほとんど観念が消えかかっているのに
〈ほら
〈もっと
〈早くしないと
汗をかきながら促しているんだから

観念は
別れを惜しみつつ
この世ならぬ
音と色とを考えないわけにはいかず
ツタの這う窓べに

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■目次
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港の人 1~33
単行本未収録詩
少年の夢
ある男の肖像
ねこ
水たまり
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解説 平出隆
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図書出版・編集企画
港の人(みなとのひと:minato-no-hito)
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