header
『消えてしまった葉』
本書の詳細

戻る
■本詩集より
spacer
若い水牛が消えた話

これからお話をします
貧しい水牛の群れのお話
戦いに敗れ あまりに長く
狭い檻に入れられたので 心が朽ちてしまった

餌を与えられ 食べるだけ
水牛は馬鹿だと叱られる
何も誰のことも知らなくて 騙されてばかり
四本の肢と輝く純朴な眼が 水田を梳く

水牛がいるからには その上に人がいる
真面目な水牛さんが水牛を操る
餌をあげるんだから 逆らっちゃいけない と甘言で釣る
手向かったら―銃で撃つまでよ

俺だって水牛よ…
騙されるまま 目の前の常識とやらに従い
でも 自分の血が地面に滴り落ちたっけ
角が人間様に当たったとかで

今日 俺はとうとう我慢できなくなった
あいつの言葉など もう信じたくない
肩のは毎日重くなるばかり 耐えられない
鼻輪だってして捨ててしまいたい

「角が尖っていても 銃剣とでは勝負にならない」
俺は我慢して 座りながら話を聴いている
一本道、でもこれしかないのかよお
自由になるには 銃で撃たれるしかないのかよお

spacer
 
■目次
spacer
1 1970-72
つかぬまの思い
安らぎの世界
ゴムの樹の物語
夜の哲学者
空無
ついにボンヤリ
目標
spacer
2 1973-76
花が咲く
砂の墳墓
若い水牛が消えた話
火=霊、仕事=生命
若者の意思
花の誇り
spacer
3 1976-80
山中の想い
青春 森の詩のごとし
部隊の休息
記念塔
心を家に送る
ビンラー
南の言葉の風
稲の母神の微笑み
spacer
4 1979-81
生命
子供
遠くの子供への子守唄
移動する
魚を獲る人
国境地帯の物語
森の落日
遺言
塵芥
spacer
5 1981-86
生命と条件
寒い国からの覚書
八月、美しき風と来たりて
あれは過ぎ去った道
spacer
訳注
spacer
「チラナン 人と作品」四方田犬彦、櫻田智恵
spacer

図書出版・編集企画
港の人(みなとのひと:minato-no-hito)
〒248-0014 神奈川県鎌倉市由比ガ浜3-11-49・phone: 0467(60)1374・fAX: 0467(60)1375